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神戸家庭裁判所 昭和40年(少)68号 決定 1965年7月28日

少年 D・K(昭二三・二・二四生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

非行事実および適用法令

少年は

(1)  昭和三九年一二月○○日午後八時四五分頃神戸市兵庫区○○○×丁目喫茶店○ズ前附近路上において、辻○一(二〇年)に対し、同店内で同人から□野へ△△日迄に単車を取りに来るよう伝えてくれといわれたことにつき言葉づかいが悪いなどと口論立腹して連れ出し顔面をガラス製灰皿をもつて殴打するなど暴行した。

(2)  居町附近の不良性のある者のグループ、○○○○会員と常に交遊しており同会員とみられるものであるところ、同会員数名とともに昭和四〇年六月○日夜同市生田区○○町○丁目○○ビル三階ダンスホールニュー○○で遊興していた際対抗関係のある不良グループ○○会連中がいわゆる殴り込んで乱闘となり、同日午後九時五〇分頃前記三階に通ずる階段踊り場東角において○○会員高○こと高○善(一七年)が切りかかつて来た切出小刀を奪い取り同人の胸部など数カ所突き刺して殺害するに至つた。

ものであることを認められ(1)の点は刑法第二〇八条に、(2)の点は同法第一九九条に該る。

処遇意見

添付の社会記録中本件に関する少年調査票の内本件非行に至る経過、動機等の家庭、住居関係、生活史、職業関係、交友関係および調査者の意見および鑑別結果通知書の総合所見、判定を、下記のとおり一部補正してここに引用する。

上記(2)の乱闘の際少年は腹部を突き刺され肝左葉刺通創など頻死の重傷を負わされたので手当を受けるため現場を出るため階段の方に行つていたところを再び突きかかられ格闘のうえ、その兇器を奪い取つたのであり素早くどこか放棄するなどにより自己の防衛を図り得られるにかかわらず却つて該兇器をもつて胸部などを滅多突きに刺すなど反撃に用いたのであるから防衛の程度を超えたものというべきである。そしてその際の情況や心常には多分に考慮しなければならないものがあるとはいえ少年には上記調査者の意見に表われるような問題点がありそれが大きく影響していることやその他諸般の事情に鑑みれば収容保護により矯正、改善を図る要があると思料される(尤も少年の知能その他の資質や職業面における生活態度ならびに反省の情況など勘案すれば短期の処遇を適当と考えられる)。よつて少年法第二四条一項三号、少年審判規則第三七条一項、少年院法第二条に則り主文のとおり決定をする。

(裁判官 太田元)

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